Vol. 133 ピエロ

 道化師の歴史は古代エジプトまで遡る。古代ギリシャ・古代ローマでは物まねや軽口、大食芸などで座を楽しませることで裕福な家の晩餐に道化がいた。

 ピエロは、フランス語「pierrot」からの外来語。pierrotは、17世紀後半、イタリアの即興喜劇集団に登場する「ペドロリーノ(pedrolino)」という役名に由来する。フランスに入り、一般的なフランス人名らしく「ピエール(pierre)」に改められ、愛称で「ピエロ(pierrot)」と呼ばれるようになった。

 当時のピエロの性格は今とは異なり、純粋で気の利かない農民であった。その後もいろいろな作品の中で、今のピエロのイメージに近くなっていった。

 派手な衣装と化粧をし、サーカスなどに登場するコメディアンの、日本でいうピエロは、諸外国では「クラウン(clown)」と呼ばれる。ピエロは人生の悲哀をパントマイムで演じる者を指すが、両者とも白塗りで外見が似ていることから、日本では誤ってクラウンをピエロと呼ぶようになった。ピエロは本来クラウンの一種である。

 ピエロの顔にある涙のマークは喜怒哀楽だけでなく、それ以外にもさまざまな感情を表している。

  練りすぎた策がピエロを連れてくる  寺島洋子