Vol. 180 美 

「美」という字の語源には諸説ある。中国最古の文献によると、「羊」+「大」の二文字で構成される会意文字といわれている。羊は古来より神事の際、献物として供えられていた動物。大きな羊は献物としての価値が高く、大きいものは「善い」ものとされていた。

さらに神に供えられる羊は美しく完全であることを求められたことから、「大」+「羊」=「美」の漢字が生まれ、「美しい」という意味を持つようになったとのこと。そして、のちにすべての「美しい」の意味に用いられるようになった。

他の説では、「美」の下の部分の「大」は男性を表していて、古代中国の王が頭に立派な羊の被り物をするその姿が「美」の文字の成り立ちだといわれている。

また、「美」は羊の全形を現す象形文字という説もある。羊の上半身を前から見た形が「羊」で、「大」の部分は雌羊の腰の形。つまり、羊の角から後ろ足まで、全身を上から見た形が「美」であるとされている。

いずれにしても、「美」とは大きくて立派な羊を意味していて、大きいものが美しく、そして美しいことは善いこと、と考えられていた。

 美りっ美りっ美りっ お言葉が裂けている 中西軒わ