かりんとうの歴史は古く、1200年前の奈良時代にまで遡る。油で揚げた菓子は、奈良時代の唐菓子に由来するとされている。
「かりんとう」という言葉が、資料に登場するのは、江戸時代後期になってからで、そのため、中国伝来説とは別に、金平糖などと同様、南蛮からもたらされたとする説もある。
天保年間、江戸深川で「かりんとう」という名で売り出したところ広まり、江戸の名物になった。店で売るだけでなく、「深川名物可里んたふ」と書かれた大提灯を目印に売り歩き、「かりんとう売り」と称されていた。
明治8年に浅草仲見世で、砂糖より安価な黒糖をまぶして販売した棒状の「かりんとう」が、現在の「かりんとう」のルーツとされている。これ以降、庶民の代表的な駄菓子として、全国各地で独自の発展を遂げていく。
「かりんとう」の名称の由来は、見た目が「花梨」(果樹)の幹の色に似ていることから命名されたとするものと、食べた時に「カリン」という音、「カリカリ」という食感がすることから、糖蜜の甘さと合わせて命名されたともいわれる。
春の夜のかりんとうなり国家なり 筒井祥文