恋うときは神の名をもつ星動き
大西泰世
惑星の名はギリシャ神話に由来し、
たとえば水星はヘルメス、
金星はアフロディテ、
土星はクロノス・・
そう、恋うときは
美しい星々が、神の名で動くのだ。
小さな胸にともった恋心が
ダイナミックに時空と連動して、
そのほとばしる思いもまた
星の光を放っている。
こんな風に古代より
恋するものは連綿と夜空をみあげ、
見つめ続けてきた。
句はたった一人の今を浮かびあがらせつつ、
さまざまなはるかはるかへ
ものがたりをひろげてゆく。
(句集『椿事』大西泰世/砂子屋書房 1983年)
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