Vol. 226 平和

「平和」とは、もともとは「平らかに和す」の意味で、争いのない穏やかな暮らしや、身近なもめごとが収まった状態を指していた。

『神道集』(14世紀)にも見られる言葉だが、「戦争がない」という意味で広まったのは明治になってから。英語 peace の訳語として登場し、すでにあった「和平」という言葉を逆さまにして、「平和」という新しい言葉が作られたといわれている。

戦争の時代のほうが圧倒的に多かった人類史。人々は「平和」を切実に願ったといえる。

そして現代。「平和=戦争がない」というイメージが一般的だが、1960年代以降はより広い意味で考えられるようになり、飢えや差別といった人権侵害がある社会を「平和」と呼べるのか? 本当の平和って、戦争がないだけじゃなく、人々の尊厳が守られることこそ「真の平和」では、という考え方が広まっている。

 平和とは虫歯の穴の大きさよ 河村啓子
                  ゆに2025年9月会員作品より 

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