Vol. 41 小糠雨

 日本には、雨を表すことばが400以上あると言われている。その一つが小糠雨。小糠雨の糠は、玄米などを精白する際に果皮・種皮などが破けて粉になったもので、細かな様子を表すことば。それに「小」がついている「小糠雨」は、細かな細かな雨。

 雨が降るというよりも、糠のような微細な雨粒が押し寄せるという感じが由来で、霧雨と同じような意味である。雨音を立てないことから、別名「音なき雨」とも。傘を差さなくても良いほどの雨なので、いつの間にか衣服がしっとりと湿ってしまう。

 「小糠雨」の雨粒の大きさは、0.5mm以下で、通常「雨」と呼ばれるものは、雨粒の大きさが0.5mm以上のものを指す。季節は限定されないが、イメージとしては、春または秋の頃に降る雨。春の小糠雨は、しっとりやわらかく、秋の小糠雨は薄寒い感じ。もうすぐ、傘を差さずに小糠雨にしっとり濡れるのもいい季節になる。

  小糠雨やにわに踊り出す兵士  北野岸柳