Vol. 44 桜

 さくらの語源については諸説あって、次の通り。

1. 動詞の「咲く」に接尾語の「ら」がつき「さくら」という名詞となったという説。また、「ら」は花達という意味もある。

2. 昔から、春になると山の神様が里に下り、桜に宿ることを「さおり」といい、田植えが終わって神様が山に帰ることを「さのぼり」という。「さ」は神様、「くら」は神のやすまれる御座(みくら)のことで、合わせて「さくら」に。

3. 古事記や日本書紀にも登場し、さくらの霊ともいわれる木花開耶姫(このはなさくやひめ)を由来とする説。

4. 咲麗(さきうら)という、花が華麗に咲く様を表した言葉の略称という説。

5. 割開(さけひらく)という言葉の略称という説。割開とは、桜の樹皮が横や縦に裂ける様子を表した言葉。

6. サキクモルの意味が転化したという説。桜が咲く時期の雲りがちな天候を「花曇り」というが、その天候をサキクモルと表現し、それが桜そのものの名前に変化していった。

 私の推しの説は、シンプルな1番目。「咲く」+「花たち」の「ら」=さくら。

  花散って桜はただの木に戻り  渡邊蓮夫