Vol. 74 画 鋲

 現在の住まいは賃貸なので、壁にカレンダーを画鋲で貼るときは、できるだけ前の住人が刺した穴に刺すようにしているが、その穴が少しずつ大きくなって、画鋲がポロっと落ちてしまうことも。

 「画びょう」の「鋲」は(英:rivet/リベット)の和訳。板壁や掲示板に紙を留めるための笠つきの針で、「鋲」は日本で作られた国字。 鋲とはネジのように螺旋の溝で固定するのでなく、ツルツルの針を押し込んで固定するピンと言う意味。 ちなみに、東日本では「画鋲」、西日本では「押しピン」とも言われている。

 もともとはフランスの画家がキャンバスを留めるピンに笠をつけることを思いつき,画材屋に作らせたのが始まりといわれる。現在の画鋲は、アメリカ人によって1900年に発明され、特許を取得。ハンドル付きのピンとして「プッシュピン」と名づけられた。

 今では、持ちやすく、落ちても針が上に向かないように頭部をだるまやひょうたん型の形状にしたもの、ぐらつきにくく、抜いたあとピン跡が目立たないようにしたものや、カラフルでおしゃれなモチーフの画鋲等いろいろ。「ガビョウ」という音の響きから、私の中では、金色で頭部が平らな円盤型なのが「画鋲」。

  画鋲零れて朝は完璧  加藤久子