Vol. 81 フリル

 友人の結婚式でのこと。披露宴に呼ばれた友人の一人が、フリルがあしらわれたグリーンのエレガントなドレスを着て出席。お色直しで登場した新婦のドレスが、なんとその友人と同じデザインで、色違いのワインレッドのドレス。全くの偶然で、新婦とその友人は親友同士だったけれど、披露宴も二次会も、友人はできるだけ新婦と並ばないように遠く離れていた。もちろん写真撮影でも。フリルのドレスを見ると思い出す友人の結婚式。

 フリルは洋服のひだ飾りの意で、「波立つ」の意味をもつフリルより幅広のラッフルと同義語である。フリルとは、もともと薄手の布やレース生地を波打つ形になるよう重ねて作り出された装飾で、15世紀頃には誕生しており、ヨーロッパ諸国で上流階級の間で流行していた。

 男性はハイネックといわれる襟に、ラフ(raff)と呼ばれるひだ襟のついたものが流行。が、この型は食事のときに非常に不便だったため、後にあごの部分が開いた扇形へ。フリルは男女ともに装飾として使われていたが、19世紀のシャツの簡易化の中で、次第に男性用には使われなくなっていった。

  缶詰にするには邪魔になるフリル  山本早苗