Vol. 120 マラソン

 競技としての「近代マラソン」の歴史は120年ほどで、古代エジプトでは、軍隊の訓練の一環として、長距離走が取り入れられていたことが記録に残されている。当時は、長距離を速く走れる者は伝令役として重宝されていた。

 「マラソン」の名前は、ギリシャのマラトンの戦いに由来し、勝利の報告のため、40km以上を駆け抜けた伝令の逸話が有名だが、実際に、兵士が走ったのは、紀元前490年のペルシャとの戦いにおけるアテネからスパルタまでの約250kmで、援軍要請のためだったらしい。

 マラソンはもともと「約40km」という曖昧な距離で行われていた。42.195kmという距離が採用されたのは、1908年、ロンドンでの第4回オリンピック大会から。最初は、42kmの予定が、当時の英国王妃の希望により、スタートとゴールの地点が変更となり、距離が追加されたという逸話がある。

 その後、専用のランニングシューズが次々開発され、2017年にはナイキが画期的な「厚底シューズ」を発表。マラソン競技は高速化の時代に。現在は、ケニアの選手が2019年10月に、非公認ながら1時間59分40秒というタイムをマークしている。

  青年みるみる銀髪となるマラソン  吉田健治