Vol. 141 四面楚歌

 四面楚歌とは、敵の中に孤立して、助けのないこと。周囲が敵、反対者ばかりで味方のないことのたとえの四字熟語であるが、「勘違いされやすい四字熟語」の一つとされている。

 秦代末期の武将・項羽と劉邦の戦いは、歴史書「史記」に描かれている。項羽が劉邦に敗れる場面で出てくるのが「四面楚歌」のエピソード。

 楚の項羽が漢の劉邦の軍に包囲された「垓下の戦い」にちなんでいるが、東西南北の四面を敵に囲まれ、その敵が歌う「楚歌(楚の国の歌)」が鳴り響いている様子を表している。

 項羽が率いる楚の軍隊は劣勢となり、周囲は劉邦の漢軍に囲まれている。夜になると、四面(周囲)の漢軍の中から、項羽の楚の国の歌が流れてきた。

 項羽は驚き、敗北を覚悟する。味方の歌が聞こえたのだから、援軍が来た、わけではなく、楚の民が漢に寝返ってしまった、自分たちは完全に孤立した、と項羽は悟る。心身ともに疲れ切った中、敵が歌う自国の歌を聞き、故郷の歌が心に沁みるとともに、戦意も喪失していったのだろう。

  授業中 小声で歌う四面楚歌  まつりぺきん