Vol. 162 離れる

「離れる」の漢字はもともと何から離れることを意味しているのだろうか。

漢字の元となる古代文字には、古い順に甲骨文字、金文、小篆がある。
「離」をこれらの古代文字まで遡ると、

甲骨文字の「離」では、長い柄のついた捕獲用の網に一羽の鳥を入れた状態を示している。

次の時代の金文の「離」の文字では、捕獲用の網の下に手があり、上部には、森のシンボルが表され、森の中の草むらに鳥が隠れていることを示している。

その次の時代の小篆の「離」の文字では、甲骨と金文の組み合わせから、鳥が草むらの中の巣から離れることを表している。

楷書となった「離」は、一羽の鳥が網にかかり、永遠に自分の巣に別れを告げる様を示している。「難れる」は、鳥が巣から離れること、巣立ちであり、その後、捕らえられる等の災難が降りかかるかもしれない、災難にあうという意味の「難」を示している。

 逢いたいねアッと離れてゆくボート  弘津秋の子

                    こちらの句は、7月「今月の会員作品」より こちらから→