Vol. 190 来

「来」は、本来は「麦」を表す漢字だった。「来」は、畑に実っている麦の穂の形をしている象形。麦は紀元前に中国に伝わった。

中国の古い書物によると、古代王朝の周という国は麦によって栄えたといわれている。周の農業生産に革命的役割を果たした穀物であった。周の人々は、麦を天からの贈り物だと考え、天から与えられる恵み、そこから「くる」という意味で使われるようになった。
 
この麦は大麦で、大麦の原産地は今のイランやイラク辺り。大麦は西から伝播し、黄河の流域で種がまかれ、栽培されていった。古代中国の王朝が「米」でなく、「麦」で繁栄したというのが、ちょっと意外。

 氷河から来てピアニスト 黒い薔薇  岡田俊介