和ダンスにじいちゃんの杖みーつけた

基本から勉強すればいいですね

ほどけない靴紐わたし切りました

吉田利秋

目覚めると信じて夜を漕ぐカエル

しらじらと夜明け たましい右隣り

セロファンを剥がす記憶に波の音

吾亦紅

日章旗汚れて戻る鳩の首

愛すると黒ずむものを秋の紐

従順も美徳のひとつマスク晴れ

阿川マサコ

秋霖を引っぱって来た洗たく屋

三匹のこぶた三種のマスク買う

爆弾の降らない国の栗おこわ

浅井ゆず

巻いているだけ秋休みヨガマット

バナナ椰子マンゴ帰国子女の涙

仔ヤモリと晩餐アマゾンは雨季

朝倉晴美

きのうは昨日スイッチバックの駅に萩

テイラミスが甘さが苦手メリー・ウィドウ

永遠をふと順番待ちのゴーカート

海野エリー

あの木にはテンシノコシカケ生えるという

いっせいにルンバ逃げ出す秋夕焼

題:九月 私がマネキンだった頃

おおさわほてる

薔薇の棘秋のペンシルシャープナー

いちじくの葉が繁る何を隠そうか

秋空がぶどうの蔓に絡まれる

岡谷 樹

落選の顔になっていくポスター

ルマンドの脆さのままで愛される

信じてたお皿もスッと割れるのね

小原由佳

水際のベンチに夏の忘れもの

菊根分けそっと見守る親ごころ

少しずつ影を削って夕ぐれる

笠嶋恵美子

敬礼す大編制のアキアカネ

触角にこつんと当たるお月様

鉄人の肩を外しておきました

川田由紀子

ヘクトパスカルこちら留萌から

ほうじ茶のアップデートで邪で

ヒサビサノ乾杯ノ声モコ語デス

河村啓子

ゼンマイの抵抗感よアルデンテ

添うてみるテトラポットのなで肩に

蝉時雨止んでスリッパも変え時

菊池 京

ダッシュする 金木犀の香に追われ

柿ジャムを煮てどこまでも平行線

煮え切らぬ男プリンを食べている

黒川佳津子

=if(“妻”=”全輪”,”紐”,”ぽ”)

土踏まずから消える廊下の記憶

蹶躓躑躅躘蹱す今ありて

河野潤々

テーブルが聴く沈黙と息づかい

千体のモアイが風のお出迎え

もやもやをダマにならないよう飛ばす

斉尾くにこ

さざんが九と気合いをいれて吹きとばす

これは桃これは胸骨これは襦袢

すぐになきだすりんどうのかはんしん

澤野優美子

王様が来て適当なことを言う

渋い実の何でもなくて夕焼ける

鳥の鳴く声がかわいいレントゲン

重森恒雄

わたくしに塩をふってる世間体

人間はポタリポタリと堕ちてゆく

前略コロナさまいい加減にして下さい

芝岡かんえもん

白塗りの壁に見事な卑怯傷

故郷(くに)の森しっかり訛る蝉時雨

ぬるい本ばかりになった我が書棚

杉山昌善

日本人は月言葉がわかるか

竜胆が子宮の隅に宿った日

この世の終わり 金木犀になりたい

千春

秋天の端に接岸することば

目覚めとは夢見るためにあるのです

夕闇をごっそり盗む裏の猫

西田雅子

どっち派についてもしゃばしゃばのカレー

秋の天とりもなおさず白デニム

行きつけの神社の大楠の答え

芳賀博子

半日はシーツの跡の残る頬

豆苗の再生一度は許されよ

此処ではない何処か夢見る逃亡者

林 操

理論的にはニッポンは沈没し

打ちどころ悪くてうまく死にません

自衛しかないとポツリ言ってみる

飛伝応

友だちの友だち夏の置き土産

パラノイアだろうトイレの落書きに

XとYはZのまとめ役

平尾正人

足じゃんけんパッと開かぬ五本指

天高し雲は遊びに行くと言う 

むつかしい漢字を捨てるジャパニーズ

弘津秋の子

腑分けした恋から生えるギャグ要素

壺と箱どちらの蓋がしあわせか

テロリストまずはミドリガメに擬態

藤田めぐみ

コオロギが鳴くワクチンの接種率

モノクロが飛び出す海鳴りのしわざ

正面にトランペットを据えている

藤山竜骨

リア王が霞が関を彷徨す

一言でドミノ倒しとなる世論

総選挙お灸をすえてあげないと

峯島 妙

家族とはいちじくサンド一口目

今日も晴れなんだかなあとレモンパイ

暖めてみようかドラゴンの卵

宮井いずみ

ふくらんだ袖につまっている未来

どうしてもさびしいときに読むはなし

空を焼くついでにぼくも焼いてくれ

本海万里絵

髪染めてあなたの駅を乗り過ごす

大体がだいだらぼっちの仕業です

銀杏の葉はらり小説に紛れ込む

森平洋子

冷血のふりして眉月のそっぽ

月光に浮き立つ玻璃のだまし舟

涙目のスワンボートと夜を抜ける

山崎夫美子

2021年10月の会員作品を読む 「ゆに編集部」

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