- 春に咲く花は花粉を持っている
- 烏賊光るオープン戦の二試合目
- ひゅるひゅると泣く春の音の取り方
「重森恒雄」の作品一覧
全 58 件の作品が登録されています。
- 雨で見えない星の誕生日
- イタチ横切る何事もない月夜
- サヨナラのランナーとして走り出す
- 黙ったままが二階から降りてくる
- マフラーが絡みつく夜の北斗星
- また出会う猫の病を知っている
- 一月にさかのぼるバカの数々
- いくらでも雪が降る市民病院
- 更地になった竹藪に雪積もる
- 美しい冬の一部が揺れている
- 寝る間惜しんで渋柿の皮を剥く
- やがて潰れる家の赤いカーテン
- 心窩部で大きな月になっている
- 夢のない話に添えるソーセージ
- 何日も食べずに柿の木に登る
- 膵臓とキリマンジャロに行ってくる
- 血をば吐く立待月を寝て待って
- 出棺に間に合うブルーインパルス
- 月蝕が始まっている銀食器
- 未練なさげに窓を闇が出てゆく
- 素裸を撫でられている波の音
- 草はぼうぼう恥ずかしいことをする
- 雨が降ったところで枯れてゆく舟
- 草むらへ消えてゆく虹色の翅
- 芋虫が散歩しているパスワード
- 空っぽの洞に流れるブラームス
- 雲はもう終わろうとする全十話
- 山門不幸紫陽花に蝸牛
- 悟るとはもう振り向かぬ橋のこと
- 五月雨集め本堂を出る小舟
- 動かない虫の昨日と違う貌
- 三匹も四匹も蜂が来て歌う
- 初夏の望月舟が待っている
- 疣を取る歳相応の悪性度
- おろおろと廃校の桜見に行く
- 笑いだす温かな樹の本籍地
- 如月の夜に震えているスマホ
- 黒い羽根だけを残して朝の月
- 寒い広場でボール蹴り合っている
- 雪の降る夜を京都へ行く電車
- ノールックパスを通して誕生日
- 二つ目の春が来ている乾電池
- 何も書いていないノートを読み返す
- 新年の軒下にいるニシキヘビ
- 指示をするときは灯りを暗くする
- いつ来るかわからなかったはずの蜘蛛
- 袋小路の山茶花の白い頸
- 百年に一度生まれてくるトンビ
- 夜が来る誰もいないと思わせて
- 何もせぬ間に柿の実が落ちている
- 何というものでもなくて栗ごはん
- オレンジジューシーな人と隣り合う
- 夢に見ていた朝が来て木を登る
- ただ走り続けるたまに手を挙げて
- バス一つ見送れば来る黒揚羽
- 三次方程式に絡みつく髪
- くらくらとエノコログサの背が高い

