- 形代を乗せれば速し花筏
- 終止符を打つたびアスパラが伸びる
- 七合目あたりで風を読み直す
「笠嶋恵美子」の作品一覧
全 58 件の作品が登録されています。
- 薄墨で描いた達磨が泣いている
- 目薬を差すたび君が透けていく
- 耳朶そめて黙礼かえす交差点
- 火渡りや山中に法螺鳴り響く
- 燻されて嗄れ声の寒鴉
- 不動にんまり弛む凍天
- まだ胸に刺さったままの薔薇の棘
- 馬の背を越えたか鶴が舞っている
- 古文書の欠けたとこから日が昇る
- 喜びは千両の実の赤さほど
- 土鍋ことこと木綿豆腐は手でちぎる
- 窓に月髪染め終えて鐘を聞く
- 月を見て泣くのはおよし屋根の猫
- 小悪魔がにっこり笑うコンパクト
- 月光を浴びると髪が匂い立つ
- 重い手紙だ郵便受けが濡れている
- 蜘蛛はもう天へ向かって糸を吐く
- どの杭も冬に向かって立ち直る
- 拾い読みしながら海へ辿り着く
- 狂い咲くことにも慣れて山吹は
- 本懐を遂げたか鍵は外せたか
- エンディングノートに挟む花の種
- 黙祷の間も蟻は行進する
- 鉛筆を削り直して終戦日
- どくだみの花の白さへ十字切る
- 一波乱おこす隣の酔芙蓉
- 万両の花に呪文をかけておく
- 瘡蓋をそぉーっと剥いでいる忌明け
- ぽっかりと池に浮かんでいた時間
- 傷は癒えたかためらいがちに昇る月
- 曇天を切り裂いてゆく救急車
- 不時着をするには森が深すぎる
- 野苺を盗撮してはいけません
- 眠りにはつけそうもない赤い月
- 決断の甘さをわらう飛行機雲
- 紙切れになってしまった誓約書
- 花の名一つ覚えて旅に出る
- 再会を誓ってくれた花切手
- 大根の花にも旬があるように
- 地吹雪の中から鬼があらわれる
- しもやけの指を吹きふき雪を掻く
- 音の無い世界に沈む雪の夜は
- 逆転のチャンスを鳶に攫われる
- 笛吹けど踊ってくれぬ家のヘビ
- ぐい吞みの底に張り付く南海トラフ
- 少女像の胸を横切る流星群
- 聖歌ながれて猫はうす目をあけている
- 人形の瞳から星があふれそう
- 居ずまいを正して鬼の面を脱ぐ
- 生き切って蟷螂の翅透き通る
- こんな夜は浮世草子に紛れ込む
- 花だったころの記憶が残る部屋
- 壁紙の隅で光っている蛍
- 読点を打つ間に秋が逃げてゆく
- 大切なものをひとつずつ捨てる
- ひと波乱おこした松を引っこ抜く
- ひと眠りすれば乾きそうな傷

