- 弟は急な故障の湯沸かし器
- 餞にバンドエイドとラーメンと
- 雨雨雨雨雨雨痛雨雨
「河村啓子」の作品一覧
全 56 件の作品が登録されています。
- カーテンの人間嫌い続いている
- 鰻丼は喧嘩の仲裁にはならず
- 遺伝子が椿の赤に反応する
- どの闇をくぐり鰯の目に泪
- 降りそそぐとっても温い土団子
- 集落にある必然と偶然と
- 先生の馬は伏目でうつむいて
- 鍵盤の上で野菜を揚げている
- 軍艦の足の小指を揉んでいる
- 半ドアのままで水平線超える
- 水引籤引き明日を引いてくる
- 穴開ける穴埋めている黄金糖
- あら秋のこんなところで会うあなた
- ノクターン引き返すのは御自由に
- 苛立っていたのはそこの金木犀
- 不揃いを詫びる指先震えてる
- そよりともせず鈴虫の舌打ち
- 曇天を引っ張り出したチェロの弓
- 昼顔の薄ら笑いは納豆臭
- 室外機から漏れるひぐらし日記
- 摩天楼より嚏すまじ咳すまじ
- 平和とは虫歯の穴の大きさよ
- 頷いてあの夏ひとつ飲み込んで
- 蓮の実のくちぐち叫ぶ反戦歌
- 火曜日を日曜日だと言い張って
- 真四角にされた西瓜が売れ残る
- 横座りした男と食らうマスカット
- たしなみを忘れた雨のスラックス
- 米櫃が遺言状をしたためる
- あんぱんの餡と暗とを詰め替える
- 零になるまで泣いてみる歩いてみる
- あなたは靴をわたしは風を覚えている
- ブラウスの釦はずれて白詰草
- 椿になった室長の首
- 右向けと言われて右を向いた首
- うなだれて咲く花もあり春は春
- 紐は緩めで春は温めで目を覚ます
- 一人かけ二人かけして桜咲く
- 二つ目の月が点滅するのです
- 竜の玉痛いところに落ちてくる
- 冬の目玉春の目玉と入れ替える
- 阪急をちやらんぽらんが降りてくる
- 焼きりんご懐柔策はほどほどに
- さざ波を夕べ立てているシーツ
- 膨らんだ方に手がゆく福袋
- 優しさは真ん中に風抱いてから
- かな文字で吊るされている係長
- 黒豆を頂く箸のカンタービレ
- 言い草はロスアラモスの丘の上
- 皿の数かさね現実逃避する
- トラックが運んでいった茜雲
- 本当に穴があいているのです秋
- 金木犀秋の番地に満ち満ちて
- 咳払い聞こえたような父の席
- アコンカグアだったか父の髭だったか
- 栗の実の転がり落ちて生前葬
- 年老いぬアランドロンも相棒も

