独り言合皮の傷に潜り込む

ドトールのミルクレープと辞書が友

空振りの少年に差し出すココア

島貫麻衣子

天の川 斜めに泳き切る「想い」

あんたとはハグしただけの肉離れ

芒のかんざし ゆかたの君は風

杉山昌善

アホバカマヌケセンジョウコウスイタイ

危殆けったい線状降水帯

まるで破落戸線状降水帯

田尾八女

首長く待てば輪郭成す麒麟

流星を夜空に貼り直す仕事

黙り込むかつて雨雲だったひと

たかすかまさゆき

パティシエは砂糖まみれの剣を振る

甘くない黄色い遺伝子の西瓜

不倫から電気椅子まで走る馬車

七澤銀河

ポリエステル100%の処方箋

柩からはみ出しているオヤジギャグ

オムニバスきのうはきのう今日は今日

浪越靖政

まぼろしの蝶に誘われ咲くピアノ

一瞬をひらいて止まる揚げ花火

秋草に置かれて露になる時間

西田雅子

SPとなーんか相性が悪い

満月がしぼんでしまわないうちに

爽涼の総取りされるビスケット

芳賀博子

日常に紛れ込んでる彼岸花

小麦粉も油も断って秋に入る

空色のバケツに明日への希望

林 操

一日を丸く始めるトロロ汁

こんなマンションは詐欺犯が買えるだけ

ハザードマップを毎日散歩しとります

飛伝応

ねむたくてたまらんおなかいっぱいで

聞かぬ耳助言も叱咤激励も

点滅するライト働きすぎだろう

平尾正人

忘れ物夕焼け道の一直線

来客人娘と孫に笑われる

お花の日薔薇と南瓜に唐辛子

弘津秋の子

やわらかく諭す首振り扇風機

キンキンに部屋を冷やして鍋にする

崖っぷちSNSを参照す

藤山竜骨

妻と僕に立ちはだかった高い壁

度胸あるげに振る舞うパパは見かけだけ

入社試験クソ度胸で無事通過

堀本のりひろ

後悔はしないと決めたコイントス

はるかには夢と希望を連れていく

思い出が互い違いに鯨幕

峯島 妙

よく晴れて目立たなくなる火傷痕

うらぶれた駅のももいろ列車風

桐一葉することリストひとつ消す

宮井いずみ

いっしょに朝を待ってくれるひと手をあげて

谷底で歌っていたら巡り会う

ゆらゆらがいいねどこまでも行こうね

本海万里絵

こぼれたケチャップ伏線の回収

隕石のハナシによると明日はね

冷えた森ノイズキャンセルしてもなお

森平洋子

得体の知れぬ焦燥感が攻めて来る

高価なサプリ効いた気がする勘違い

板の間にゴロンと置いた大西瓜

森 廣子

虫集く大人コーデに調える

コオロギが迂回している地蔵盆

ぬくもりを引き寄せ灯る復刻版

山崎夫美子

政治家の海外旅行禁止する

道半ばスマホゲームにはまってる

五目並べのゲームに燃えてどうすんの

吉田利秋

Welcomeの輪唱 花の浮島から

父っぽく控えめ ツバメオモトの実

さんざめく夏三つ折りに山楂子酒

四ツ屋いずみ

敬老の日 国県市から祝百寿

躊躇わず赤色系の畳替え

長寿命老いの暮らしはあてどなく

渡辺かおる

夜明け前 青を生み出す無明尽

残像の笑顔こもれび引き寄せる

風の言う また起ちあがるから明日

吾亦紅

いちじくが一番待っていた晴れ間

バイエルなんか聞こえる街の風の色

おろおろ生きる季節はさりさりと流れ

浅井ゆず

あっ野分の予感虎屋の羊羹

野分風伯父と曾祖父ベランダに

野分過ぐ鉢に目高の子沢山

朝倉晴美

紙飛行機しぶしぶカーブ切ってゆく

カゴの中 今は買わないものばかり

風なのか満月なのか家の鳴り

石野りこ

ため息を消し去る駅のアナウンス

虫の音に気づく夜中の不整脈

守秘義務はあるし豆腐は崩れるし

伊藤良彦

棚奥で咳いている黒歴史

秋灯り嘘の卵がまだ温い

一筆箋真冬の文字が孵化をする

稲葉良岩

をりをりのお蕎麦になって床につく

ちょうどいいこのまぼろしを一掴み

川底をさぐる手ぐしの指流し

岩田多佳子

黄昏も汚れてぬくい息を吐く

七月に落ちて大地に食べられる

蛙には抱き殺された雌もいて

海野トト

手折とりて月光あふれるスマートホン

月光よポカンと見える喉ちんこ

ポコチンに月光当たって昭和の子

おおさわほてる

違いますこれはスペアの方の唇(くち)

ペディキュアを乾かしていたはずなのに

ドアノブがなまぐさいリカちゃんハウス

小沢 史

広々と男の日傘過ぎてゆく

予算内で収める慰めの会

細やかなアナウンスから陽が洩れる

小原由佳

こっそりと突っかい棒をはずされる

生と死の間でゆれる蜘蛛の糸

ぬくもりがまだ残っている割れガラス

笠嶋恵美子

蘇る声は三原色のまま

ジャポニカに暴れん坊のマルがある

靴紐は白 約束の灯台へ

桂 晶月

ぷかぷかと浮いて世間に付いて行く

秋兆し 目立ちがり屋のななかまど

風過ぎて今は結び目にもゆとり

金子政子

ラーメンの湯切り堪忍してほしい

君達は一旦舌の上に居ろ

熟考をきれいに裂いて絹の雲

川田由紀子

秋の蚊のこれみよがしの葬送歌

金木犀アンカーの顎吊りあげて

引き出しで増殖中の黄な粉パン

河村啓子

鉛筆を持つ手がだんだん大きくなって

自分で選んだ靴で歩きたいうんそれでいい

あ虹だあたし初めて見たよ科学者の顔で

寒雷

親知らずに居座るグミの微抵抗

水滴を止ませるチョコと引き換えに

スクショが増えてガムの味なくなって

菊池 京

無修正の百花繚乱ダリア園

ライオンが眠ってる間にプチ整形

喧騒の中に真雁が秋を告げ

きくちはるか

晴れたからグランドピアノ買いに行こ

耳澄まし指で確かめよしこのグランドピアノ

グランドピアノやって来て昼は冷飯

北川清子

泥流の家で生き抜く二週間

バチカンの郵便局でスリに遭う

ハウツーの一本道に眠くなる

北 優果

残像の君を連れ去るアキアカネ

わたくしが森の奥から出て来ない

十月の誰も知らない花の種

黒川佳津子

ブリキ缶へ戻っていったサーカス座

彗星の逸れて船首像の目に

カーボン紙の下に満ちゆく星月夜

黒田弥生

そらまめの従兄にナムル共和国

自然から日々を豊かにするレシピ

お腹にはとろけるチーズかけ昼寝

斉尾くにこ

わからないところで鹿のばかやろう

正しいことを詠う口を開いて

高くたかくボールは跳ねて夏が逝く

重森恒雄

釉薬のゆから始まる舞踏会

大切に育てられたい羊の目

オレンジの星は意外に温いんだ

下野みかも

さようなら うしろ姿の月を見る

陰口は銃殺刑にして欲しい

浪花節 JAZZのテンポにされている

芝岡かんえもん

2026年10月の会員作品を読む 「山崎夫美子」

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