- つつましく生きて酷暑のひんやりグッズ
- 今日だけは火垂るの墓の景に入る
- 逃げ切ったはずの背中に夏日延々
「山崎夫美子」の作品一覧
全 58 件の作品が登録されています。
- かげろうの門へ人力車が消える
- 眠れない夜を跨いで兵馬俑
- 落色の仁王の口の渇ききる
- 仏頭の哀しいほどのがらんどう
- たそがれの本屋の前の空き家情報
- 風みどり税務署からの封を切る
- 一条の光たどれば天使のくしゃみ
- 菜園の畝高くして風五月
- ヤングケアラー少年の虹痩せている
- 濁音を外せばやさしい雨になる
- タンポポの綿毛は軽い人見知り
- 春愁のアルバム川は蛇行して
- 意味深なルビたわむれにノンシュガー
- 居心地の悪い真昼の花畑
- セーターを解けばこぼれだす時間
- 勾玉の青はときどき海になる
- たおやかに点呼はじまる雛の部屋
- ようこそと楼閣までの春の泥
- 場面変わって北斗七星スタンバイ
- まことしやかに喇叭水仙返り咲く
- 潮騒を鞄に入れて終列車
- かくまってくれそう銀杏降りそそぐ
- ずり落ちた冬を必死で持ち上げる
- 幽玄を語り尽くして除夜の鐘
- 決起集会やがて氷雨に変わる頃
- ふるい落としても一縷の正義感
- 芒野のまだ終わらない隠れ鬼
- またしても闇を盗んで天燈鬼
- 飢え鹿が水飲むほとり風が止む
- 石だたみ語り尽くして深い秋
- まだ青いどんぐり家族の会議録
- 極まりしわれら木洩れ日同好会
- 晴れた日の森に主人公がいない
- くるぶしの腐食がすすむ夏休み
- 結論をつぶやくメロンの網目
- 海岸線に横たわる夏の残骸
- 抜け殻がぽつん来世も蝉ですか
- 風鈴の無邪気へ渇ききる甍
- 夏闇のじっとり牡鹿見失う
- こじ開けた季節するりと青蜥蜴
- 病棟のひかりへ寄せてくる小舟
- 関節のぎくしゃく君にノクターン
- 見開きの花野に初夏が横たわる
- ドクダミの白へ宛名のない手紙
- 藤棚の下で鬼面にすり替わる
- れんげ田に寝転ぶやがて柩めく
- 春雷に追われ追慕を横抱きに
- 千体仏のひたすら春を惜しむ雨
- 白旗をもう干している春の変
- 両の手に喜々と火を浴び二月堂
- あのときの鑑真がいる波がしら
- 山焼きの祈りの渦を抜けて闇
- 風下の椿は知らず喪が明ける
- しんがりは雪にまみれた埴輪馬
- 着払いですか帽子の中の鳩
- 一月の凧が見たくて野末まで
- 吹雪く夜の風土記は軽い咳をする

